社労士業務での得意科目
社労士が得意とするのは、就業規則のコンサルティングと採用・育成のアドバイスらしいです。
それぞれについて解説します。
就業規則や労働条件のコンサルティング
雇用従業員が10人を超える企業は、就業規則の策定が義務とされています。
就業規則は法律に基づいて作成、改訂しなければなりません。
社労士は、就業規則が従業員の働きやすさや企業が抱える課題に沿った内容となっているかをコンサルティングします。
働き方が多様化する現代において、法律や社会保険に関する専門的な知識を基に的確にアドバイスできる社労士は、企業にとって心強い存在となります。
社労士は、従業員に対する取り決めや適切な労働条件を支援するためのコンサルティングも行います。
就業規則と労働条件は、経営者にとって重要な側面であり、従業員が安心して働くための環境を整える上でも注視される事案です。
実際、従業員数が10人以上の企業では、就業規則の作成が義務付けられています。
就業規則は法令遵守のためにも必要であり、内容の整備が不十分だと、従業員の認識の違いやトラブルのリスクが高まります。
この点で、社労士は労務の専門性を活かすことで適切な内容の作成支援が可能です。
また、就業規則は法改正や企業の状況に応じて定期的な見直しが必要です。
法令知識を持つ社労士は、法律の変更点を適宜把握し、それに基づいて改訂案を指導することができます。
一方、労働条件に関するコンサルティングでは、労働時間の見直しや健康管理、職場環境の改善などを含みます。
長時間労働や労働環境の悪化は労働問題を引き起こす要因となりますが、社労士は専門的なノウハウを用いて、労働環境を適切な状態に整えるための助言を行います。
働き方改革への意識が高まる中、社内規定のチェックや労働法令に関する知識の普及も社労士の役割です。経営者と管理者が正確な知識を持つことで、労働トラブルや法令違反のリスクを軽減することができます。
重要なのは、社労士のアドバイスや指導によって、法的枠組みと企業の目標を調和させることです。
例えば、法令遵守と従業員の働きやすさを両立させる提案など、バランスを取りながら企業の安定的な運営を支えます。
社労士による「就業規則や労働条件のコンサルティング」は、従業員と企業の双方にとってメリットもたらすことになるでしょう。
採用や育成のアドバイス
人材の採用や育成のコンサルティングも、社労士の得意分野です。
選考過程で人を見極めるのは採用担当者の業務ですが、社労士は、優秀な人材を集めるためのアドバイスを企業に対して行います。
社労士には、従業員が他社よりも魅力的だと感じる企業にするためのコンサルティング力が求められます。
法令に関する知識と、人事や労務の経験を活かし、人事評価の可視化や制度化、労働時間の改善、マニュアル策定や研修方法の提案などを行います。
企業が成長していくためには、優れた人材の獲得が不可欠です。
しかし、人を見極めることや自社に魅力を感じてもらえるような採用活動は容易ではありません。
その力添えとなるのが、社労士による採用コンサルティングです。
社労士は、求人募集から面接・選考に至るまで、その企業に適した人材を採用するためのプロセスを支援します。
例えば、求人内容の構成や採用基準の策定、面接での適切な質問方法など、企業が的確な選考を行えるようにサポートします。
また、魅力的な労働環境を整えるための助言や、企業の強みをアピールするためのアドバイスなども提供します。
採用だけでなく、人材育成に関与することも社労士資格を活かしたコンサルティングの一環です。
育成に関しては、研修方法の立案やマニュアル策定などを通じて、入社後のスキル向上につなげていきます。
人事・労務の知識を活かし、従業員のモチベーションと成長過程が把握しやすくなる人事評価プランなども提案します。
社労士が行う「採用活動や育成のコンサルティング」は、企業にとって安定した人材基盤や持続可能な成長に欠かせない業務と言えるでしょう。
社会保険や労働保険手続きのコンサルティング
社会保険や労働保険の手続きは、人を雇う際に必ず迎える課題です。
手続きに誤りがあれば、従業員に不利益が生じたり、企業には罰則が科せられたりする可能性があります。
そのため、社会保険と労働保険に精通した社労士が相談を受ける機会は少なくありません。
例えば、起業して間もないからといって社会保険や労働保険を整えないまま事業を展開すると、後に大きな問題を引き起こす可能性があります。
特に、パートタイムやアルバイトなどの雇用形態に関して、適切な保険に加入していない状況は慎重に対処すべきです。
すでに保険制度を導入している企業でも、非正規社員に対する労災保険や雇用保険の適用がおろそかになりやすいケースが見られます。
こうした課題に対しても、社労士が専門知識を活かして丁寧にサポートし、適切な助言や解決策を示してくれます。 社労士ならではの「社会保険や労働保険手続きのコンサルティング」を通じて、労働者の利益が守られ、企業のリスク回避にもつながるでしょう。
社労士にコンサルティング力が求められる理由
社労士にコンサルティング力が求められる理由は、「人」に関連する課題は、企業の成長に欠かせない重要な要素だからです。
企業は、自社の課題の発見と改善・解決をコンサルタントに求めています。
人事や労務が専門分野の社労士は、コンプライアンスの遵守と従業員の満足度につながるコンサルティングを得意とするため、企業に重宝されます。
働き方改革が推進される現代において、労働トラブルは増加傾向にあります。
経営陣と従業員の良好な関係のために、適切に人事管理と労務管理を整備できる社労士が求められています。
社労士に向いている人
社労士に向いている人は、以下のような特徴があります。
- 数字や計算に強い
- 労働や雇用の問題に興味がある
- 企業の経営に携わりたい
- 独立開業をしたい
- コミュニケーションが好き
労務管理は、数字の扱いが多いため、地道に数字と向き合える人が社労士の業務に向いています。
さらに、労働問題に悩む企業や従業員の話を聞くコミュニケーション力に長けていたり、問題意識を持って環境整備に取り組めたりする人が、社労士として活躍するでしょう。
コンサルティングを任される社労士になるには
企業からコンサルティングを任せたいと思われる社労士になるためのポイントを3つ解説します。
自身の強みを明らかにする
自身の強みを明らかにするコンサルティング業務が未経験だとしても、社会人として積み重ねてきた経験が、自身の強みとなります。
従事してきた業界の専門的な知識や経験に加えて、社労士として法令に関わる膨大な知識を得ているため、コンサルティングに活かせるものは十分に備わっているといえます。
コンサルティングの経験を積む
経験が強みになるとはいえ、社労士の資格を取得しただけではスムーズなコンサルティングはできません。
コンサルティングの経験を積む方法の1つとして、コンサルティング会社への就職を選ぶ人も少なくありません。
コンサルティング会社は、企業の経営課題の解決を手伝う企業のことを指し、コンサルティングファームともいわれます。
資格を増やす
社労士の業務に関連するほかの資格も取得することで、できる業務を物理的に増やす方法もあります。資格取得は、自身の付加価値を証明する手段となります。たとえば、行政手続きができる行政書士や、税務関係の業務ができる税理士、経営コンサルティングに関わる中小企業診断士などは、社労士のダブルライセンスとして人気が高い資格です。ファイナンシャルプランナーを+αで取得している方が増えています。
結びに
近年、コンプライアンス強化の流れや働き方改革の影響により、社労士によるコンサルティングの需要が拡大傾向にあります。
多くの企業では、就業規則や賃金制度の見直し、労働トラブルの防止対策など、自社を取り巻く環境変化への対応に迫られているというのが実情です。
このような経営上の問題点を労務面から指摘し、改善策を助言するコンサルタント能力を持った社労士のニーズが高まりつつあるのです。
働き方改革が進展する中、労働環境の変化やトラブルは増加の一途をたどっています。
従業員と企業の間における課題や問題点は、現代のビジネスにおいて極めて重要な事案です。
企業は従業員との関係を良好に保つことで、事業の安定と成長を見通すことができます。
問題の本質を見極め、適切な解決策を提供することによって、社労士は企業にとって頼れるコンサルタントとして存在感を示せます。
組織として必要な人事管理や労務管理の要請に応えることも、社労士の得意とするコンサルティングです。
コンプライアンスを遵守し、従業員の満足度を高めつつ企業の安定性を維持するためには、社労士の知見が欠かせません。
働き方改革が進む近年、企業の環境変化が増す中で、社労士のコンサルティング需要は衰えることがありません。
コンプライアンスの強化や労働環境の改善が企業にとって不可欠であることから、その対策として社労士の専門知識と助言が求められているのです。
独占業務ではないものの、社労士との「相談・指導」に多くの企業が関心を寄せていることは事実です。
社労士を目指している方にとって、コンサルティングがやりがいのある業務となることは想像に難くないでしょう。