ドラクエ3の「性別」廃止
11月14日に発売予定のロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」(ドラクエ)のリメイク版ソフトで、キャラクターの性別表記がなくなることが公表され、ファンの間で論争が起きている。公式サイトの情報によると、主人公と仲間たちの「男」「女」という原作の表記がなくなり、「ルックスA」「ルックスB」に変更される。また、原作では「男」なら「むっつりスケベ」、「女」なら「セクシーギャル」というように、男女固有の「性格」などがあったが、今回の変更にともない、すべて共通になる見込みだ。性別表記の廃止自体はシリーズ初ではないが、今回は原作があるだけに、昔のイメージにこだわるファンも多かったようだ(引用記事:2024.10.27朝日新聞)。
筆者もドラクエ3を中学生の時にやっていた感動作であるが、ギスギスした議論になってきたことで気分が萎える。ジェンダーについては、議論の余地があるが、男女固有の表現まで規制しているので、他のゲームにも派生が及ぶのは必至である。
ゲームデザイナー堀井雄二さんの発言
論争の発端は、ドラクエ生みの親であるゲームデザイナー堀井雄二さんの発言。9月末の東京ゲームショウ内の対談で、今回の変更をめぐり「男女でいったい誰が文句を言うんだろう」と疑問を呈した。この対談の動画は非公式に英訳字幕がつけられ、X(旧Twitter)の英語圏でも拡散。Xのオーナーであるイーロン・マスク氏がこの投稿をリポストする事態にまで発展した。
堀井さんもびっくりしたと思う。私も驚いた。微妙な問題なのでブログでの言及はさけるが、日本と海外での差が激しい。我々も注意する必要があるが、人間の大半は見た目で性別を無意識に判断していることを忘れてはならない。
多様なゲームユーザーの声を
今回の変更について、ドラクエシリーズを手がけているスクウェア・エニックスに取材を申し込んだが、辞退する旨の回答があった。ただ、背景には、2010年代以降に広がる多様性推進の動きがあるのは確かだ。近年、ドラクエに限らず、ポケットモンスターなど多くの人気ゲームで性別表記が廃止されている。
この記事、マイノリティの方向だけに偏った記事になっている気がします。
一般社団法人「fair」代表理事の松岡宗嗣さん
性的マイノリティーの情報を発信する一般社団法人「fair」代表理事の松岡宗嗣さんは「男女の二者択一は、現実社会の多様な性のあり方を反映できていない」と指摘した上で、男女表記の廃止だけにとどまらず、キャラクターの選択肢を多様化していく必要があると訴える。「特にトランスジェンダーやノンバイナリーの人々のためにも、ジェンダーなどに関するステレオタイプを強化しないためにも、キャラの外見の種類などをできるだけ増やしてほしい」と語る。(小川尭洋)
松岡宗嗣さんの経歴・学歴
愛知県立昭和高等学校を卒業後、明治大学政治経済学部に入学。大学に入ってからはセクシュアリティをカミングアウトしてオープンにするようになり、SNSを通じて同性愛の仲間と知り合う。
2018年に明治大学政治経済学部を卒業。同年4月に「一般社団法人fair(フェア)」を立ち上げて、代表理事を務めている。
2021年3月に東京都千代田区永田町で駐日欧州連合(EU)代表部主催の行われたイベント「ジェンダー平等と若者世代」にも参加し、「自分はゲイという意味ではマイノリティだが、男性という部分ではマジョリティなので、その特権性をどれだけ意識して行動できるのか」と語り、より追い詰められやすい立場のための政治の重要性を説いた。
2021年5月には他の活動家らと共に厚生労働省で記者会見し、自由民主党が公表した、LGBT・性的少数者に関する理解増進を柱にした法案を巡り、「当事者がいじめや差別から守られる法律が必要だ」として差別禁止の明記を求め、実効性のある法律の制定を訴えた。
現在はゲイであることをオープンにしつつ、LGBTに関する情報発信やキャンペーン、イベントや講演への出演、コンサルティング、ライターとしてもさまざまな媒体に寄稿している。